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講師のブログ・Q&A

  • 男性の講師です
    京都府京都市左京区
    27歳
    京都大学大学院 理学研究科 博士課程

ハンドルネーム:KEFAさんのブログ

コロナ禍と家庭教師

このコロナ禍による社会の混乱は未だ収まる様子を見せず、連日暗いニュースばかりです。ここでそれらを振り返っても陰鬱なばかりですから、少し無理にでも新型コロナの影響で良くなった点に目を向けて見たいと思います。

それは社会の広範囲にリモートワークが浸透したことです。全ての業種でリモートワークができる訳ではありませんし、むしろ割合としては非常に小さいとは思いますが、これまでリモートワークが可能でありつつも見向きもしてこなかった多くの会社、より一般に役所や学校を含む様々な組織が、止むを得ずリモートワークに乗り出すこととなりました。

このようにある種の妥協策として始まったリモートワークですが、いざ始めてみれば想像よりもずっと上手くいった場合も多いのではないでしょうか。

私は博士課程の学生ですが、4月以来、これまで対面で行ってきた、共同研究者・指導教員との打ち合わせ、学会、研究集会など全てがリモートに置き換わり、もうずっとキャンパスに行っておりませんし、出張もありません。ティーチングアシスタントとしてレポートの採点も行いますが、それもすべて電子媒体で提出されたものをウェブ上で採点します。

最初リモートになると聞いたときは慣れ親しんだ方法を変え、新しく覚えるのが億劫でしたが、やってみればなんてことはありませんでした。Zoomで会議室を作り、そのリンクを参加者に送る、もしくは他の人の作ってくれた会議室に入る、タブレットの画面を共有し、スライドに書き込みながら説明する、どれも全く難しくなく、また少し工夫をするだけで対面と遜色ないコミュニケーションが可能でした。

使ってみるまで気付きませんでしたが、とっくにリモートワークを可能とするインフラは整っていたのです。これは私だけでなくある程度社会一般でもそうだったと思います。対面で用が足りているからとか、顔を合わせないと信頼関係を築けないからとかのもっともらしい理由(実際多分に正しい面もありますが)があるために試みさえされずにきたのです。もちろん通勤による気持ちの切り替え、一堂に会することで生まれる活気、連帯感など無視できないメリットはあるでしょう。

しかしリモートワーク固有のメリットも無視できません。例えば移動時間が節約でき、仕事と並行して細かい作業(掃除や洗濯、料理など)ができます。楽な服装でいられるのも利点です。

ただ私がなにより強調したいのはかなり多くの人がリモート環境に適応したという事実です。これ自体が非常に大きな進歩だと思います。何故かといいますと、皆がリモートに適応したことで、リモートを前提としたインフラが整備され、サービスが充実し、これまで存在した居住地による制約が弱まっていくことが期待されるからです。

ここでやっと家庭教師の話につながるのですが、これまで家庭教師といえば、生徒の自宅に訪問したり、カフェや貸しスペースを使ったりというのが標準でした。しかしリモートワークを一度でも経験した人であれば、必ずしも対面でなくとも十分に質の高い指導が可能ということが分かると思います。リモートの家庭教師ならば自宅に他人を入れる必要もなく、移動も必要なく、他人の目もありません。そしてなにより重要なのが、家庭教師と生徒が離れたところに住んでいても指導が可能となる点です。これまで家庭教師のマッチングは不公平でした。近所に良い教師がいるかどうかで質の高い指導が受けられるかが決まってしまっていたのです。これは運の面もあるとはいえ、実際には都市部や教育水準の高い大学の近隣に住むことができるかという地域格差が大きく作用しています。しかしこれからは家庭教師のリモート化が進み、全国の優秀な家庭教師に依頼することが可能となり、この格差は埋まっていくでしょう。

ただリモート環境を誰でも用意できるわけではないという世帯格差は依然として残るのが心苦しいのですが、教育の公平な分配という点では確かな前進と言えますし、家庭教師、生徒の双方にとって利益のある変化だと思います。