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講師のブログ・Q&A

  • 男性の講師です
    東京都世田谷区
    40歳
    米ハーバード大学大学院/東京大学大学院 Harvard Graduate School of Education/ 東大人文社会系研究科

ハンドルネーム:HGSE2020さんのブログ

保護者が直接勉強を教える事はどこまで効果的か?

一般的にいって、保護者が直接勉強を教え込む、叩き込むことの効果は、小学校高学年から急速に低下していきます。これはアメリカでも日本でも同じ傾向です。

その時に保護者さんは、自分の教え方や最新の受験への知識不足、また、「親だと子供が甘えてしまう」と言うふうに考えることが多くあります。

それそのものは必ず間違っているとまでは言えないのですが、正しくない場合が大半です。研究によると、教え方や知識が影響するのは100%のうちの15%程度です。ですから85%は、教え方や知識以外のところで左右されています。これは医学モデルであっても同様の研究が出ており、治療法よりも、治療者と患者の関係の方が重要であると言う結論も指摘されています。

とすれば、なぜ保護者さんが直接教えると効果が落ちてしまうのでしょうか?
1つ目の理由は、小学校高学年からは脳の性質が変わり、保護者から褒められることに対して嬉しいと言う反応を示しにくくなります。むしろ極端な場合は、気持ち悪いと言う反応を示すようになります。

その代わりに社会評価、社会報酬と呼ばれる、友人や一般社会の人たちに評価してもらいたいと言う傾向がどんどん増してきます。また脳では、テストステロンなどが放出され、理性よりも、情動に強く働きかける作用が発生します。

そうすると、保護者さんが直接関係すればするほど、お子さんの勉強へのモチベーションが低下してしまうということが当然に起きてきます。

ただし、中には保護者さんが直接関与をしてうまくいくケースもあります。1つはトップの進学校であって、その場合は特に保護者さんと子供(特に息子さん)との間に、特別の関係ができていることがよくありますので(教育科学的にはあまり良いことでは無いのですが)、子供がそういうことを意識せずに勉強が進むということがあり得ます。

それからアメリカでも、保護者さんが直接関与してうまくいくケースが報告されていて、ただそれは多くの場合は、保護者さんがそれまであまり相手をする時間がなかったり、忙しくて仕事をしていた場合のことです。例えばオバマ大統領のお母様は、朝4時半から、お金がなかったのでバラクオバマ少年にそれからアメリカでも、保護者さんが直接関与してうまくいくケースが報告されていて、ただそれは多くの場合は、保護者さんがそれまであまり相手をする時間がなかったり、忙しくて仕事をしていた場合のことです。例えばオバマ大統領のお母様は、朝4時半から、お金がなかったのでバラクオバマ少年に個人的に家庭教師をしていました。バラク少年は家庭の事情をよく知っているため、それに応えようとしたわけです。

このようなことを考えると、保護者さんが勉強教えると言うことに直接関与することのメリットは、それほど大きくありません。むしろ、勉強に失敗してしまったときのフェイルセーフ(安全弁)として機能する方が、はるかに大切なことといえます。

ですから、例えば小学校6年生でそれまでうまくいっていたはずなのに、保護者の言うことをきかなくなったと言った場合は、保護者自身が悪いと思わないことが大切です。また、それを続けていくと、一般的には状況が良くなる事はほとんどありません。